不動産売却をしたくても、売り手本人が忙しかったり、病気で入院していたりすると、代理人を立てる必要があります。
代理人が滞りなく手続きをおこなうには、委任状という売り手が発行する書類が必要不可欠になります。
ここからは、代理人を立てるときに必須な委任状の作成ポイントや注意点を解説していきます。
※もし不動産の所有者が病気などで、意思確認ができない場合は、代理人ではなく後見人を付けるようになります。
詳しくはこちらにまとめてあるので、ぜひご参照下さい。
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目次
委任状は売却する不動産の情報・委託する権限を正確に記載しよう!
不動産売却の委任状は、基本的にフォーマット自由となっています。
実際には、ほとんどの不動産会社がフォーマットを準備していますが、それくらい自由度の高い書類となります。
この書類に記入しなければならない事項は、大きく分けて以下の2つです。
- 正確な不動産情報の記載
- どこまで代理人に委託するかの記載
これさえ守っておけばどんな形式でも構いませんが、それでも意外と書類作成は難しいものです。
ここからは、上記2ポイントをクリアするコツを紹介していきます。
作成時は登記簿謄本を準備しておこう!
「自分が住んでる家の情報なんか何も見なくてもわかるよ」という方も多いでしょうが、面積や間取りなどの正確な数字は意外と本人も知らないものです。
物件情報を記入するためには、登記簿謄本を参考にするのがおすすめです。
登記簿謄本とは法務局が管理する物件データのことで、こちらに記載されている内容が公式のデータとなります。そのため、もし増改築などをすれば変更手続きをしておく必要があります。
最寄りの法務局で取り寄せることができるので、早めに手続きをおこなっておきましょう。
代理人の権限も明示しておくべし!
委任状は、物件の詳細な情報の他にも、「代理人にどこまで委任するのか」という情報を記載することができます。
いくら親族や親しい友人に頼んだとはいえ、数千万円の利益が発生する不動産売却を他人任せにするのはおすすめできません。
査定の依頼などの手続きは任せて良いかも知れませんが、買い手との価格交渉などは自身がおこなうのが最も悔いのない方法でしょう。
どこからどこまでを任せるかを最初にはっきりさせておかないと、いくら仲の良かった間柄でもトラブルになりかねないので注意しましょう。
曖昧な書き方は悪用の恐れがあるので注意
委任状を作成するときにおすすめなのが、必ず最後に「以上」と書いておくことです。
こうすることで、第三者によって新しい項目を増やされるなどの悪用を防止できます。
内容を少し修正するだけで、簡単に自分に数千万円が入るように仕向けることができるのが不動産売却です。ここまでの大金が絡んでくると第三者はおろか、信頼している代理人まで心変わりする可能性があります。
「以上」と一言付けるだけで多くのトラブルを避けることができるので、必ず付けておくようにしましょう。
不動産売却時の委任状作成ポイント
委任状を作成するときは、なるべく見やすくわかりやすいものにする必要があります。
以下のような順番で項目を並べていくと、見やすくなるでしょう。
- 代理権を付与する旨の説明(委任者と受任者の名前を入れる)
- 売買物件の内容(登記簿謄本を参考に)
- 売買の価額条件(いくらなら売るかの明示)
- 手付金の額
- 引渡予定日
- 契約キャンセル時の違約金の額
- 公租公課の分担起算日(管理費など月ごとの費用をどの日から日割りで分けるかの確認)
- 金銭の取り扱い(振込先の口座名・振込手順などの明示)
- 所有権移転登記の申請の方法など(依頼した司法書士の名前など)
- その他(もし上記以外のケースが発生したらどうするのかなどを記載)
- 委任状の有効期間(しっかり書くことで悪用を防ぐ)
”以上”
上記のように、必要項目をすっきりまとめておくと、代理人にとっても買い手にとっても見やすいので、おすすめですよ!
委任状作成に必要なもの一覧
委任状作成のために必要なのは、以下の3つです。
- 実印
- 印鑑証明
- 住民票
これらを使って書類を作成するようになります。
また、前述の通り不動産の詳しい情報が記載された書類も必要になります。
また、自身が不動産を売却するときには気軽に担当者に決めながら手続きすれば良かった内容も、代理人に委託するときは全て事前に指定しなければいけません。
こうしたことを考えると、特にはじめて不動産売却をする方にとっては書類作成の手間は大きいでしょう。
どんなに忙しくても代理人と担当者の3人で確認を!
どれだけ忙しくても、代理人と一緒に一度仲介先の業者へ赴くようにしましょう。
近年では安全面から不動産所有者本人の確認が必要ですし、いくら電話で担当者と連絡がとれても、やはり対面して話すのとは違います。
いくら書類の出来が良くても、紙面からでは伝わってこない意思などもあるので、一度直接伝えるようにしましょう!