人生において一、二を争う大きな買い物である不動産。高額な取引だからこそ、持ち家を手放すときは失敗しないで安全に売りたいですよね。
ですが不動産売却の経験や知識が少なく、安全に売ることができるのか、またどんなことに気をつければいいのかわからず、不安な気持ちを抱えている人も多いのではないでしょうか?
不動産売却を成功させるには、どんな失敗例があるのかを知り事前に対策をすることが大切。
ここでは不動産売却にあたって実際に起こりやすい失敗例をご紹介します。
さらに成功させるための対策も合わせて解説するのでぜひ参考にしてください。
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目次
1 相場以上に家の売り出し価格を高く設定して失敗
家を売るときの失敗で多い例のひとつが、売り出し価格を相場よりも高くしてしまい買い手がつかないこと。
せっかく不動産を手放すなら少しでも高く売りたいもの。
だからと言って高く売ることに囚われて強気な価格をつけてしまうと、いつまでも買い手がつかない状況になりかねません。
高く売りたくても買い手がつかなければ、いつまでも売却できずお金が入ることもありません。やがて売却期限が近づいて値下げを行っていきます。
その結果、最終的に値下げを続けた結果適正価格よりも下回る可能性もあり、成約に至るまでの時間もどんどん長くなってしまうのです。
正しい査定が家売却を成功させるコツ
家をスムーズに手放すためには、正しい査定をしてもらうことがとても大切。複数の不動産会社から査定をしてもらうと、それぞれで金額が異なっています。
つい一番査定金額が高い会社に依頼をしたくなりますが金額だけで決めるのは危険。
業者によっては仲介手数料を得るためにわざと一番高い査定金額で顧客を引き寄せ、売れないからとあとから不動産の価格を下げるという悪徳なところも存在します。うっかりそのような不動産会社と契約をしてしまうと、本来の価値よりも低い価格で家を手放す結果に。
不動産会社は複数をしっかりと比較し、あまりにも高い査定金額をつける会社は注意が必要です。
1年売れずに半額まで値下げした失敗例も…
実際に高価な査定金額を提示されて契約したものの、結果的にいつまでも家が売れずに気づけば売値が下がり半額まで値下げしてしまった例も。
契約が成立するまで1年などの長期間がかかってしまうのは、精神的にもストレスになってしまいますよね。
予想よりもはるかに安い金額で、思い出の詰まった我が家を手放すことにはならないように、家の売値はしっかりと相場を把握してから設定をしましょう。
2 査定額だけで不動産業者を選んで失敗
不動産会社選びは家を売るときにもっとも慎重に行いたいところです。
同じ家でも不動産会社の対応や営業によって早く売り手がつくか、また高く売れるかどうかが決まると言っても過言ではありません。
しかし、不動産会社は必ずしも高い査定額をつけたところが良い会社ではありません。
査定額を相場以上に引き上げる悪徳業者に注意
特にほかの会社よりも2割や3割など、やけに高い査定金額を出す不動産会社は要注意。
不動産会社を選ぶ際はほかと比較して安すぎず、高すぎない平均金額を提示してくれるところを選びましょう。
不動産売却に慣れていない人の中でも、信頼できるかどうか見極められるのは金額ではなく会社の対応です。あくまで高額な査定額ではなく、信頼ができる会社かまた親身になって相談に乗ってくれるかなどしっかり不動産会社とコンタクトをとったうえで信頼できるところを選びましょう。
両手仲介の不動産会社にも要注意
両手仲介の不動産会社にも注意しましょう。
両手仲介は「売主と買主両方の仲介を1つの不動産会社が担当すること」。
つまり両手仲介は売主と買主の両方から仲介手数料を受領しており、不動産会社の中でももっとも多くの収入を得られるメリットがあります。
本来買主側の不動産会社は、買主が少しでも安くいい物件を購入できるよう交渉をします。そして、売主側の不動産会社は少しでも高い価格で買い手がつくように営業を行います。
この買主、売主の両方を仲介する両手仲介は、売買成立によって仲介手数料を早く得るために買主側の味方をして値引きを要求するケースがあるのです。
たとえば「もう少し値下げしてくれたら買う」という買手の意見があれば、不動産会社は売主に「これくらい値引きをすれば売ることができる」と交渉してくるケース。
少しでも高く売れるよう営業をしてくれていた不動産会社が、いきなりここまで値引きをしてくれないかと売買の成立をいそがせてくることがあるのです。
この行為はアメリカなどでは「利益相反取引」として禁止されています。しかし日本では特に規制されておらず現在は大手仲介業者の半分程度がこの両手仲介システムになっているのです。
だからこそ両手仲介業者が必ずしも悪徳業者ではありません。ただし、両手仲介であると買手を優先し、売手への最善を尽くしてくれない可能性があることを覚えておきましょう。
家の査定は複数の不動産会社に査定してもらう
家の査定は一社にしぼらずに、必ず複数の不動産会社に依頼をすることが大切です。これにより査定金額の平均を知ることができ、あからさまに査定額が低い、高い業者を見極めることができます。
不動産一括査定サービスがおすすめ
不動産を比較するときに便利なのが、不動産一括査定サービスを利用すること。
この不動産一括査定サービスは、家の所在地や築年数などの情報を入力するとインターネット上で自分の物件に合ったところを複数提案してもらえるウェブサービスです。
以前は不動産会社1件1件に自分で問い合わせをする必要がありましたが、不動産一括査定サービスなら6社ほどの不動産会社に一括で査定依頼を出すことが可能です。
最近はなんと情報を入力すればたった60秒程度でおすすめの不動産会社をピックアップしてくれる1分査定サービスも。
自分で一から不動産会社を探す手間が省けるので、より時間をかけて慎重に契約する不動産会社を比較し選ぶことができます。
3 家を売り急ぎすぎて相場より安く買い叩かれて失敗
家を売ると決めたら、できるだけ早く売買を成立させて次の引っ越しなどの資金にしたいと考える人も多いのではないでしょうか?
しかし、家を売り急ぎすぎて適当な不動産会社を選んでしまうと、結果的に相場よりも安く買い叩かれてしまい損をするケースが起こりやすいのです。
特に相場を知らないで先に不動産会社に足を運んだ結果、適正価格がわからないことをいいことに不動産会社の都合の良いよう売りたたかれることがあります。
断るのが苦手な人は要注意。つい話に乗せられるまま契約してしまい、損をすることになりかねません。
周囲の売り出し価格を調べて相場の感覚を掴んでおこう
自分の家の相場の予備知識があれば、断りやすく話に流されるリスクも減ります。そばを調べるのならやはり不動産の一括査定サービスが便利。
住所や物件に関する基本情報を書き込むだけで、どれくらいの価格で売れるかを短時間で知ることができます。
また、不動産売買の情報サイトで自分の物件と似た立地、条件のところを探すこともおすすめ。ざっくりではありますが家の価格を知ることができます。
ほかにもスマホアプリで査定をする方法もおすすめです。AIによる自動診断でおおよその相場をすぐに調べられるので、不動産会社に個人情報を公開せずとも家の価値を知ることができるのがメリット。まずは自分に合った方法でしっかりと相場を把握しましょう。
4 急なキャンセルで家の住み替えに失敗
家を売るタイミング、買い替えのタイミングがうまくいかないという失敗例も多くあります。この「買う」と「売る」のタイミングが合わないことで起こりやすいトラブルが以下の2パターン。
- 次の家が見つかる前に自宅が売れてしまい賃貸生活が長くなった
- 買手がついて新しい家を契約したもののキャンセルが生じて予定していた資金が得られなかった
特に金銭的なゆとりがない状態で住み替えに失敗をしてしまうと、賃貸生活やローンの二重支払いなどのトラブルが起こりやすいので十分に注意しましょう。
ローンが残った家の売却には細心の注意を!
持ち家を売却して得たお金を、新しい家の購入資金や住宅ローンの返済に充てる場合は、基本的に売ることを優先して手続きします。
どれくらいの資金を得られるのかある程度確認できるので、家の買い替えの計画が立てやすいメリットがありますが、売手がいつ現れるかはわかりませんし、さらに万が一売手がついてもキャンセルが出る可能性も考えられるのがデメリット。
売手がついたからと急いで新しい家への引っ越しや契約をしてしまうと、その後想定していた購入資金が手に入らずに資金繰りができなくなるという問題が起こることがあるのです。
資金に余裕があるならば先に家を「買う」ことを先行するのがおすすめ。
もし手元にまとまった資金があれば先に家を購入し、住み替えをしてから古い不動産を売りに出しましょう。
これで売手が決まるまでの間賃貸物件で生活をする資金がかからず、自分の落ち着いた新しい環境で過ごしながらゆっくりと買手を探せます。
5 家は売れたがオーバーローン状態になって失敗
家がまもなく売れても、結果的にオーバーローンになり金銭的にゆとりがない、もしくはローンを組めなかったというケースも起こり得ます。
特にほしい家を購入して、あとから古い自宅を売却する場合、古い自宅のローンが残っていると審査に通らない可能性が多く見られます。
この状態をダブルローンと言い、早めに買い換えをしたい人にとって特に気をつけたいポイントです。
ローン残債と売却価格の計算は綿密に!
古い家を売ったお金でローンを完済できればいいですが、中には売値だけではローンを返済しきれずに、新しい家との2つの支払いに追われる状態になってしまうことも。
このダブルローンを支払うだけの経済力があればいいですが、人は病気や怪我、出産などさまざまな事情で収入が変わることも考えられます。
将来的にローンで苦労をしないように、残債と家の売却価格を比較して計算をしましょう。
住み替えするなら住み替えローンがおすすめ
住み替えに関するお金の悩みを解消する手段として今注目されているのが「住み替えローン」です。
住み替えローンは古い家と新しい家のローンの両方をまとめて借り入れができるシステム。
古い家を売却したお金で住宅ローンを返済しきれなかった場合、金融機関から「家の売却資金で返し切れなかった分のお金」と「新居購入のための費用」、この2つをまとめて借り入れることができます。
つまり、古い家のローンの不足分が500万、新しい家の購入資金が3,000万だとしたらこの3,500万円を融資してもらうのが住み替えローンのシステム。
審査に通ればダブルローンよりも低金利で、長期の借り入れができるのでお金の普段を減らしてスムーズに住み替えができます。
6 査定・内覧時に悪い印象を与えて失敗
家の査定金額は、築年数や立地だけでなく「見た目」もとても大事です。
できれば新築のようにあまり汚れや傷のない物件の方が買手もつきやすく、築年数がそこそこ経過している家でも、小綺麗で済みやすそうな印象があれば内覧時に良い印象を与えられます。
特に部屋の片づけや掃除をあまりしてない状態で査定や内覧をしてもらうのは、やはりネガティブな印象を与える原因に。
本来は広々とした家でも物が多く散らかった状態では狭く、住みづらそうに感じる人もいます。
せっかくの家の価値を下げてしまう原因になるので、買い手の気持ちを第一にていねいな掃除を心がけましょう。
訪問査定でいい印象を与えるには?
訪問査定でいい印象を与えるには、まず家全体に汚れや傷がないかといった外観のほか、防音性、臭気も注意をしましょう。
訪問査定の際は家の中に余計なものをおかず、物をしっかりと収納しておくことが大切です。それと同時に気をつけたいのが臭いです。特にペットや喫煙者がいる家庭は、自分では気づかない臭気が家の中にこもっている可能性も。
せっかく家自体がきれいでも、やはり臭いが残っているとその分家としての価値は下がってしまいます。
ほかにも線路や大きな道路に隣接している場合は、騒音に関しても注意が必要です。遮音性防音に対して窓サッシなどの対策があればその分印象が良くなるため、積極的にアピールをしましょう。
また訪問前にしっかりと換気をして臭いを減らすことも大切。
できれば家の中で喫煙をしないのがベストですが、難しい場合は消臭スプレーを使うなどして清潔な空間を作りましょう。
購入希望者の内覧でいい印象を与えるには?
購入希望者の内覧時も、整理整頓が第一です。
特にきれいにしておきたいのが「玄関」。人も第一印象が大切なように、家も最初に見るところである程度印象が決まってしまいます。
第一印象を与える場所である玄関部分はしっかりと片付けておきましょう。靴はすべて下駄箱に、さらに掃き掃除と水拭きも行って汚れが目立たない状態をキープしてください。
もっとも清潔感を出せるポイントとして外せないのが、バスルームやキッチンなどの水回り。壁のカビや蛇口の水垢がある水回りは不衛生で印象が良くありません。
掃除できれいにしきれない場合は、可能であれば内覧の前にハウスクリーニング業者に掃除を依頼することもおすすめです。
なにより見学に来てくれた人に対して、あまりしつこくしすぎないことも大切。
買ってほしい気持ちが強いあまり、家のおすすめポイントを聞かれてもいないのにアピールをするのは、マイナスイメージを持たれる原因に。
買手がゆっくりと内覧ができるように、つきっきりで案内はしないよう注意しましょう。
また、聞かれた質問に対してはスムーズに答えられるように、築年数や間取りなどの基本的な情報のほか、自分が気に入っている場所、機能面などをスムーズに話せるように準備しておくとさらに好印象を与えられます。
7 数年後に価格が高騰して家を手放したのを後悔
不動産は売る時期をしっかりと考えることも大切です。
手放したあとにその土地の価値が上がり、早めに家を手放したことを後悔してしまうケースも起こり得ます。
だからこそ、家を住み替える場合も売るのか、もしくは賃貸として一時的に提供をするのか、目的と時期に合わせた方法で手放すことが大切です。
家を売るか・貸すかしっかり検討しよう
家を売るメリットはまとまった収入が得られること。一方、賃貸として貸し出すのは継続的に収入が入ることがメリットです。
賃貸にすることで家賃収入を得ながらも、土地の値上がりが来るのを待つことができます。
ただし、場合によっては土地の価値が下がってしまい、早めに売った方が良いケースもあれば、借手がつかずに収入が得られないといったトラブルも考えられます。
ほかにも賃貸の場合は、修繕費を家主が負担しなければなりません。
家賃収入の範囲内で収まればいいものの、結果的に赤字になるケースもあるので十分に検討が必要です。
維持をするのが面倒、まとまった資産が今すぐ必要な人は家を売ることをおすすめしますが、その土地の価値が高まる可能性がある、また思い入れがあって手放しにくい場合は賃貸を検討してみましょう。
2020年までに家は売っておくべき?
2020年の東京オリンピック開催に向けて、日本では不動産価格が全体的に上昇傾向にあります。
このままいつまでも不動産価値が高まっていくことはなく、いずれは上昇が落ち着いていきます。
その上昇のピークが、東京オリンピック開催の2020年頃。それより前に不動産売却をするのが無難とされています。
不動産一括査定サイトのイエウールの調べによると、2018年上半期に売りされた分譲マンションの1戸価格は平均5,962万円。
これは前年比1.3&アップで、なんと6年連続で上昇を続けており、バブル期の5,9305万円を上回る勢いとなっています。
この傾向はオリンピックが終了するまでに続く傾向があり、手放せるのであれば2020年までに首都圏の不動産は売りに出すことがすすめられています。
家を売る際には失敗しない最高の準備を!
家を売るのは人生で一度あるかないかの大きなイベントです。
気持ちよく家を手放すためにはしっかりと準備を行って、失敗例を学んでおくことが大切です。
そのためには自分にあった優良な不動産会社を見つけることが第一!
不動産一括査定サイトで、自分の家の条件に合った不動産会社を比較してみましょう。また住み替え時はローンの残額など、あとから金銭的に苦しまないよう計算をしたうえで無理のないローンを組むことも重要です。
ぜひ家を売る際は今回紹介した失敗例を踏まえたうえで、相場を調べる、不動産会社とじっくりと相談をする、そして家をきれいに掃除して保つなど自分ができる準備を進めておきましょう。