瑕疵担保責任は不動産売却の重要事項!内容・仕組みをしっかり理解しよう

不動産の瑕疵イメージ

不動産売却をおこなう上で気をつけたいのが、瑕疵担保責任です。

これは、物件を引き渡してから一定期間内に建物そのものや住宅設備に不備が見つかった場合、売り手が買い手に対して損害賠償などの責任を負うことです。

物件内の欠陥を隠しておくほうが高値で売れるような気もしますが、ペナルティを受ければ結局は損ですし、賠償金も最大で1億円を超えるケースもあります。

今回は、瑕疵担保責任の詳しい内容や仕組みをわかりやすく解説していきます!

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瑕疵担保責任は買い手が優位な制度?双方で取り決めをしないと損です!

瑕疵担保責任は、民法で規定されている立派な法律で、条文には、このように規定されています。

  • 瑕疵担保責任には期限がなく、発見した段階で責任を追求できる
  • ただし、賠償請求は瑕疵発見から1年以内が原則
  • 売り手の故意・過失に関わらず、責任は負わなければならない

長年住んでいれば、不具合の1つや2つは発生するものでしょう。こうした瑕疵を住んでいた売り手でさえ気付かないこともあります。

それなのに無期限で故意かどうかに関わらず賠償請求ができるなんて、何て売り手に厳しい制度なんだ!と思いますよね。

ただし、これは様々な財産の取引を対象にしている一般的な制度であり、不動産売買では条文がそのまま適用されるわけではありません。

不動産売買では売買者間の話し合いで瑕疵担保責任を取り決めます

不動産売買では、瑕疵担保責任は”任意規定”となります。

そのため、慣例では売買契約書に瑕疵担保の期間や賠償金額を記入して決定します。

一般的には、「家に雨漏り・シロアリの瑕疵2種類が発覚した場合、引き渡し日から3ヶ月以内は売り手が修繕をおこなう」というように、①対象の物件②賠償の対象となる瑕疵の種類③責任を負う期間の3種類を規定することで、双方にとって公平な契約となります。

フローリングの傷や柱の傾きなど、内覧時に買い手に見せてOKをもらったものは賠償の対象にならないように取り決められます。

ただ、話し合いでそうまとまっていてもしっかり文書化しなければ法的拘束力はないので注意しましょう。

瑕疵担保責任の適用対象は意外に幅広い!

瑕疵(かし)とは、欠陥や不具合を指す言葉です。

不動産の場合、この瑕疵には物理的なものと心理的なものの2種類があり、買い手の生活を脅かすものであれば幅広く責任の対象になります。

物理的な瑕疵は、以下のようなものです。

  • 雨漏り
  • シロアリ被害
  • サビ・腐蝕
  • 給排水管の故障
  • 建物の傾き
  • 無理なリフォーム・増改築の発覚
  • 耐力構造が不十分
  • 火災・漏水被害
  • 境界・越境、地盤の沈下・埋没物、土壌汚染など土地に問題が発覚
  • 騒音、振動、臭気

などなど、あげればキリがないのが物理的な瑕疵です。

中古物件はそのままの状態で引き渡すことが多いので、こうした欠陥には十分注意したいところです。

見落としがちな心理的瑕疵!過去の事件や事故も賠償対象になります

外側から見てわかるのが物理的瑕疵ですが、買い手へ心理的にダメージを与えるような事件、事故も瑕疵担保責任の対象となります。

具体的な例をあげれば、以前に物件内で自殺があった、変死体が発見されたなど、ショッキングな事件・事故があった場合は、買い手にしっかり周知させることが義務付けられています。

後処理をしっかりしており、物件自体に何の欠陥がなかったとしても、過去の自殺や殺人事件が発覚して1億円以上の賠償請求を受けたケースもあります。

こうした過去を知っても、物件が魅力的なので購入することにしたという方は多くいます。

敢えて過去を隠して売り出すよりも、しっかりデメリットを共有した上で、それでもこの家に住みたいと言ってくれる人を探していきましょう。

不動産売却の理由はどこまで開示すべき?プライバシーとの線引が大切

「自殺者が出たので、気味が悪くて売却する」という場合は、前述の通り瑕疵担保責任に関わる問題なので、理由はしっかり伝えなければいけません。

しかし、離婚やローン未払い、子どものいじめ、夫のリストラなど、他人に知られたくない理由があって不動産を売るという方も多いです。

こうした、売り手の個人的なケースかつ、物件自体に関係のない理由であれば、プライバシー保護の対象になるので開示しなくてもOKです。

精神的なダメージを受けてまで、個人的な心の傷を公表する必要はなく、不動産会社に言えばプライバシーを秘匿しつつ売却を進めることができます。

不動産会社によっては、担当者にさえ売却の理由を言わなくても良い制度があります。売り手と担当者はパートナーなので理由の秘匿はおすすめできませんが、どうしても言いたくない場合はこうした制度を利用していきましょう。

担当者への確認・素直なデメリットの報告が大切です

どこまでが瑕疵に含まれるかという線引きは、素人には難しいものです。

瑕疵に関わらず不動産関連の事項は自己判断が難しいので、最初のうちは逐一担当者に相談することをおすすめします。

ただ、暮らす上で気づいた物件の欠陥を担当者に伝えなければ、彼らも確認・対応できません。

購入希望者の前に、まずは担当者に共有してみましょう。