不動産売却をして利益や損失が発生したら、確定申告をします。この確定申告の中でも不動産業との関係が深いのが青色申告です。
青色申告とは、不動産所得、事業所得、山林所得を得た個人・法人がおこなう確定申告です。
「引っ越しをするので前の家を売った」という個人でも、こうした青色申告は必要なのでしょうか。また、すでにアパートなどの賃貸経営をしている方は賃料と一緒に売却益を申告しても構わないのでしょうか。
不動産売却の事後処理の中でも非常に複雑な確定申告の疑問を、今回わかりやすく解説します!
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目次
不動産売却では青色申告ができない!
青色申告は、以前は青色の書類を使っておこなわれていたことが由来でついた名称です。
わざわざ通常の申告(青色申告)と分けておこなう分手間はかかりますが、普通の申告(白色申告)よりも控除額が高いのが特徴です。
前述の通り不動産所得、事業所得、山林所得が対象となりますが、不動産売却によって得た利益は譲渡所得となるので、こちらは申告できません。
個人・法人ともに、売却益は白色申告をするかたちになります。
譲渡所得とは?確定申告時の考え方
大家さんが賃貸で得ている収入は、なぜ売却益(譲渡所得)とは異なるのでしょうか。
譲渡所得は、”所得”と名前はついていますが、実際は”売上”です。第三者に売る、つまり権利を移譲することで利益を得たもので、勤務先の給与や賃料収入などの所得とは質・仕組みが大きくことなります。
また、譲渡所得=売上と言いましたが、実際には代金と同値というわけではなく、以下のようにして算出されます。
・譲渡所得=譲渡価額ー取得費ー譲渡費用
くわしい内容はこちらにまとめてあるので、ぜひ確認してみてください!
賃貸経営している方は申告の種類に要注意!
アパート、マンションの大家さんは毎月居住者から賃料を徴収しますが、こちらは不動産所得とみなされます。一方、借りる人が減ってきたので売却をすれば、こちらは譲渡所得です。
つまり、賃貸と売却では確定申告の種類が違うので、注意をしましょう。
白色申告は自営業者の方がおこなう一般的な確定申告で、予備知識がなくても実行しやすいというメリットがありますが、賃貸経営もしている方からすると混乱が生じやすいので気をつけましょう。
賃貸マンションや事業用物件の売却時は更に注意
居住用の不動産を売却した際に譲渡損失が発生すると、損益通算をおこなうことができます。
損益通算とは、もし損失が発生しても、他に同じ取引をおこなっており、そちらがプラスだった場合、複数の損益を通算してしまうという方法です。
これをおこなうことで、税金の新たな発生を回避することも可能ですが、不動産売却で損益通算できるのは居住用のものに限ります。
ただ、賃貸マンションや事業用物件は利益が発生すれば譲渡所得税や住民税が課されますが、損失の場合は税金が課されません。
複雑ですが、物件のタイプによっても手続きが異なるということをチェックしておきましょう。
事前に確認せず損をする方が多数!しっかり知識を付けましょう
なぜ「大家さんは、賃料と売却益で確定申告の種類が違うことを知っておきましょう」と言ったかというと、実際に混同して間違えた方が多くいるからです。
第2次安倍内閣の発足以降、アベノミクスによって長年沈んだ景気が復調となりました。これを受けて、今まで地道に賃貸経営をしていた大家さんが「絶好のタイミングだ!」と売却する事例が増えました。
2020年の東京オリンピック以降に相場は下落するとも言われており、確かに好機とも考えられますが、損益通算ができると勘違いしていた方が多く、逆に損をしている人が多いです。
何度も言いますが、賃貸マンション、事業用物件の譲渡所得は損益通算できないというのは重要なポイントなので、しっかり覚えておきましょう。
迷ったら不動産会社に相談を!
ここまでの内容を見て、「不動産売却後の確定申告って難しそう…」と思った方は多いでしょう。
しかし、心配には及びません。大抵の不動産会社なら青色申告と白色申告の違いは把握していますし、初心者でもアドバイスをもらうことができます。
不動産会社は仲介や物件の紹介だけしかおこなっていないという方も多いですが、不動産売買の手続きに関することであれば、一通りは知っているはずです。
はじめて不動産売買をおこなう方にありがちなのが、遠慮をして担当者とのコミュニケーションを最小限にしてしまうケースです。
どんな細かいことでもしっかり共有しておくのが不動産を高額で売却する近道なので、青色申告も含め、税金や費用の支払いまで隅々とチェックをしておきましょう!
※不動産売却の中で発生する費用の種類や支払いのタイミングはそれぞれ違うので、事前に知っておくとスムーズに手続きをすすめられます。
こちらにまとめてあるので、ぜひチェックして下さい!