擁壁とは?その設置条件と規定を紹介!

擁壁のある風景

擁壁というものをご存知でしょうか。

盛り土などの崩れを防止するものなのですが、この設置には制限や規定など条件下で行わなければならないことが存在しています。

そこで今回は擁壁についてその制限について紹介していきます!

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擁壁とは

擁壁とは、崖や盛り土の側面が崩れ落ちてくるのを防ぐために設置する壁のことをいいます。土壌の安息角を超える高低差を地面に儲けたい場合に土壌の横圧に抗して斜面が崩れることを防ぐために設計・設置される壁上の構造物です。

安息角とは土や粉上のものを高く積み上げた際に自発的に崩れることのない安定した斜面の最大角度のことをいい、勝手に滑り崩れない限界の角度のことです。

擁壁には設置義務のある場合があり、宅地造成等規制法の区域内で高さ1m以上の盛り土がある場合や、その他の区域では建築基準法にて盛り土・切土に関係なく高さ2m以上の場合に擁壁の設置が義務付けられています。ようするに高さ2mでの擁壁であれば自由に設置することができると捉えられます。

擁壁設置には技術的制限がある

擁壁の設置には技術的基準というものが設けられています。宅地造成等規制法の施行令第6条では「鉄筋コンクリート造・無筋コンクリート、間知石積み重ね造、その他の練積み作りものもとする」と擁壁の設置条件が定められています。

宅地造成等規制法の例外となる地域の場合でも、この規定に沿った擁壁の設置がおこなわれることが多くなっています。まれに自治体の条例などによって条件が異なる場合もあるのですべてがこの条件というわけではありません。

購入・売却の際は擁壁の状態確認も必要

どんなに頑丈に作られている擁壁でも、永久にその機能・効果を維持できるわけではありません。長い年月が経過すればその分劣化は進んでいきます。古い擁壁が設置してある物件の購入を検討している際は、擁壁の状態をよく確認しておきましょう。また、擁壁が比較的新しいものであっても亀裂やひびが入っている場合があるので新しければ安心とも言い切れません。

擁壁の補修や新設には費用が数百万円~数千万円かかる場合もあります。もシそれを知らずに売買契約を結んでしまって、後から擁壁の発覚してしまったら売主や不動産会社とトラブルになってしまうことが考えられます。

またあなたが擁壁付きの物件を売却する際も同様です。あなたがしっかり擁壁の状態について確認していなかったら責任を問われてしまうことになってしまいます。

では擁壁の状態はどのように確認すればいいのでしょうか。次ではそのチェック項目を紹介していきます。

擁壁設置の確認項目

擁壁がきっかけでトラブルを引き起こさないためにも、実際に安全性のある擁壁かどうか確かめる必要があります。

  1. ひび・割れ・風化がないか擁壁の表面を確認する
  2. 擁壁の材質を確認する(鉄筋コンクリート・無筋コンクリ―ト・間知ブロックなど)
  3. 水抜き穴の有無を確認(壁面の面積3㎡以内に1つ以上の内径7.5cm以上の水抜き穴が必要)
  4. 2段擁壁・2重擁壁でないか確認する(違反建築の場合があるので)
  5. 高さ2m以上の擁壁については工作物建築確認および検査証を確認

以上のチェック項目をすべておこないましょう。国土交通省が発行している「宅地よ壁老朽化判定マニュアル」などの利用も擁壁の状態確認に効果的ですので利用してみると良いかもしれません。

安全性の認められない擁壁は対策が必要

擁壁を確認した結果、安全ではないと判断された擁壁は以下のような対応を取らなくてはなりません。

擁壁に対する敷地の位置 対応
擁壁の上部に位置する場合 再建築時に擁壁の建て直しや建物を深基礎で作るなどの対応
擁壁の下部に位置する場合 擁壁から一定の距離を置いて建物を建てる、防護壁を作るなどの対応

以上のような対応が必要になります。もし上記のような対応をしないで、売却するのであれば建築確認が下りない可能性がある旨を重要事項説明書に記載しなくてはなりません。もちろん擁壁の修理に多額の費用がかかってしまうこともしっかり説明しなくてはなりません。

隣り合った敷地に高低差があるために、その間に擁壁を設置するという場合は上側の敷地所有者の責任で、上側の敷地内に設置されるケースが多くなっています。ただこれは義務ではないのでその間に擁壁を作らないという場合もあります。あくまで上側の人が作る場合が多いということです。

擁壁の安全性調査項目

擁壁の安全性については以下のような調査が必要になります。

  1. 擁壁はその高さと関係なく、安全性が裏付けられたものでなければいけない。たとえ高さ2mの擁壁であってもそれは工作物の建設確認が必要なだけに過ぎません。
  2. 玉石造りは構造設計が難しいのに加え、風化が激しいということで安全性に欠けるという判断がされることが多く、現在では違反建築・不適格と言われることが多くなっています。役所に確認しましょう。
  3. 安全性が確認できなければ造り直しや建物の基礎を変えることが必要です。
  4. なにかわからないことがある場合は専門家に確認しましょう。

まとめ

擁壁は高速道路沿いや、坂道沿いの住宅街に多く見ることができますよね。あの壁には紹介してきたように、制限や決まりが存在しているので注意しましょう。

今後擁壁の設置予定のある方や、設置が必要な方は設置条件や規定を理解したうえ建設をおこないましょう!