路線価から手軽に不動産の査定を行う方法とは?

不動産の査定額を自分で調べるなら、路線価を参考にするといいでしょう。

路線価とは国税庁が発表している、不動産の価値を調べる際の目安となる指標です。

路線価を理解して、自分で査定額の相場を調べることができれば、不動産会社とのやり取りも有利に進めることができるでしょう。

このページでは路線価の解説と、路線価を使って不動産の査定を行う方法を紹介していきます。

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路線価とは?

路線価とは相続税や贈与税を計算する際に指標となる不動産の価格のことです。

不動産を相続・贈与する際には、路線価で定められた不動産の価格に従って、発生する税金を計算しなければなりません。

また不動産を売買する際にも、路線価を参考にして大体の査定を行うこともできます。

一般的に路線価は売り出し価格(実勢価格)の7割~8割程度に抑えられているので、逆に路線価の1割~2割増しで計算すれば、売却価格の相場を素人でも簡単に調べることができるのです。

路線価には2種類ある

路線価には「相続税を計算するための路線価」と「固定資産税を計算するための路線価」の2種類分かれています。

前者の相続税を計算する際に使う路線価は、毎年7月ごろに国税庁から発表されており、実勢価格の8割程度の価格が設定されています。

後者の固定資産税を計算するための路線価は、3年ごとに更新され、実勢価格の7割程度の価格で公表されています。

不動産の査定を行う際には、毎年情報が更新されている相続税用の路線価を参考にするといいでしょう。

路線価はどこで調べられるの?

路線価はインターネット上で簡単に調べることができます。

国税庁が全国の路線価図・評価倍率表を公開しており、過去7年間分の路線価を閲覧することができます。

では、実際に路線価とはどういった形で公表されており、どのように計算していけばいいのでしょうか。

ここからは実際に公表されている路線価を参考に、不動産の査定方法を解説していきます。

路線価から不動産の査定を行う方法

上記の図は平成28年度に公表されている路線価の一例です。

440Cと表記されている路線に面している土地は、1平方メートルあたり440万円の価値があることを意味しています。

また数字の横にあるアルファベットは、その土地の借地権の割合を表しており、Cであれば借地権を持った人が70%、土地の保有者に30%の権利が認められています。

借地権の割合を表す記号は以下のように設定されています。

記号 借地権割合
A 90%
B 80%
C 70%
D 60%
E 50%
F 40%
G 30%

また路線価で設定されている価格は1平方メートルあたりの値段なので、坪単価に直すのであれば、1平方メートル当たりの価格に約3.3倍掛ける必要があります。

加えて路線価を基に不動産を査定する際には、地型や間口の広さを検討して、評価の増減を自ら判断しなければなりません。

地型・間口の広さで査定額は変動する

路線価から不動産を査定する際には、土地の地形や間口(道路に接する面積)の広さも重要です。

土地の形が正方形に近ければ近いほど価値が高く、間口も広いほど汎用性が高いので価値は高くなります。

良い地形の不動産

たとえば上記の図のような不動産であれば、マイナス点はないので路線価からそのまま不動産の価値を査定することができます。

悪い地型の不動産

一方上記の図のような不動産であれば、利用用途がかなり制限されるので、算出した査定額から減額する必要があります。

減額する程度は自分で判断しなければなりませんが、上記の図であれば2~3割は引かれると考えた方がいいでしょう。

災害などで価格が変動することもある

路線価は基本的に年一回しか更新されませんが、大きな災害などで急遽価格が変動することもあります。

たとえば2011年の3月11日に発生した東日本大震災の影響から、11月に被災地域の路線価の調整率が設けられました。

調整率が0.8倍と設定された不動産であれば、査定額に0.8倍を掛けて計算しなくてはならなくなったのです。

このように路線価は急遽価格が変動することもあるので、査定する前に確認しておきましょう。

実際に路線価から不動産を査定してみた

では最初に例として見せた路線価で、実際に不動産を査定してみましょう。

売却を検討している土地は440Cの価値がついているので、坪単価で1452万円の価値がついています。

また土地の形、間口の広さも問題ないので減額もなさそうです。

最後に借用地を計算して査定は完了です。

上記の不動産であれば、自分が土地を持っていて、自分が使っているのであれば全額。

土地を借りているのであれば70%、貸しているのであれば30%の権利を持つことができます。

このように土地を貸すと、借主へとかなり権利を持っていかれることになるので、借地は慎重に検討しなければなりません。

また土地の上に建物がある場合は、さらに建物の価値を計算して土地と合算しなければなりません。

建物を査定する際には原価法を使って、査定額を算出するといいでしょう。

原価法の解説はこちらの記事で行っているので、ぜひ参考にしてみてください。

不動産査定額の計算方法を徹底解説

正確に査定するならプロの不動産会社に依頼しよう

しかし路線価を使って不動産を査定したからといって、プロとは持っている情報量が違うので、正確性で勝てることはできません。

より正確に不動産の査定額を知りたいのであれば、プロの不動産会社に依頼するのが一番です。

ただし依頼する前に、自分で査定しておくことは決して無駄ではありません。

大体の相場を掴んでおけば、不動産会社の査定に疑問があった際に説明を求めることができるからです。

不動産会社は査定のプロといっても、人間のミスなどで査定額を誤ることもあります。

不動産の査定を依頼する際には、すべて任せるのではなく、ある程度自分で調べておくことも大切です。