取引事例比較法とは、不動産を査定する際に用いられる計算方法の一つです。
対象となる不動産と類似する不動産の、過去の取引を参考に査定額を算出します。
直接不動産を見なくても査定できるため、とりあえず相場を知っておきたいとき、簡易査定で用いられることが多いです。
このページでは取引事例比較法とは何なのか、また詳しい計算方法について、初めて不動産を売却する方にも分かりやすく解説していきます。
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目次
取引事例比較法ではどうやって査定が行われる?
- 過去の取引事例を集めて選択
- 個々の事情や時期によって査定額を修正
- 地域の要因また個別的な要因によって査定額を修正
- 配分法を適用
取引事例比較法では上記4つのポイントに則って査定を進めていきます。
1、過去の取引事例を集めて選択
取引事例比較法は、まず比較の対象となる成約事例を探すところからはじまります。
不動産会社の場合、指定流通機構(レインズ)と呼ばれる情報機関に登録しており、そこには全国の成約事例の記録が保管されています。
そこから対象となる不動産になるべく近い条件で成約した事例を探し、比較対象となった成約事例の売却価格を基に、個別の情報を考慮して査定額を修正していきます。
ただし指定流通機構は不動産業者でなければ登録できないため、一般の方は情報を見ることはできません。
自力で大体の相場を知っておきたいという方は、国土交通省が運営している「土地総合情報システム」というサイトを参考にするといいでしょう。
過去7年間で成約した不動産取引価格を調べることができ、似た不動産を見つければ大体の相場を把握することができます。
2、個々の事情や時期によって査定額を修正
比較対象に選んだ不動産の査定額から、さらに個々の事情や時期(取引時点)を考慮して、査定額の修正を行います。
たとえば取り急ぎで売却を希望したケースや、競売によって売却された不動産であれば、通常よりも取引価格は安くなってしまいます。
そのため通常通りに売却する場合は、査定額はさらに高く評価しなければなりません。
また土地を含む不動産の場合、時期によって取引価格は変動します。
当時と比べて価値が上がっているのか下がっているのか評価して、査定額の修正を行います。
3、地域の要因また個別的な要因によって査定額を修正
異なる地域の不動産と比較している際には、地域の要因に合わせて査定額を修正しなければなりません。
土地を含める不動産の場合、地域によって不動産お価値は大きく変わります。
また周辺の建物によっては、騒音問題などで不動産の価値が下がることもあるからです。
類似地域(同一地域)の不動産と比較する際には、個別的な要因を考慮して査定額を修正していきます。
接している道路が市道なのか国道なのか、土地の形は汎用性が高いかなど、比較対象の不動産と照らし合わせて査定していきます。
4、配分法を適用
比較対象となる不動産が、対象となる不動産だけでなく別種の不動産も合わせて取引されていた場合、別種の不動産の価格を取り除いて査定しなければなりません。
たとえば建物だけを売却しようとしているのに、比較対象の不動産が土地も合わせて売却していた場合、土地分の価格は差し引いて査定しなければなりません。
これは配分法と呼ばれ、計算が煩雑化するため、通常は配分法が適用せずに済む不動産を比較対象に選びます。
査定額に影響を与える要因とは?
取引事例比較法において、査定額に影響を与える要因はさまざまです。
今回は主な要因として挙げられることが多い特徴を紹介します。
- 交通量
- 騒音・異臭
- 都市ガスの有無
- 行政の治安
- 接道の有無
- 地盤の強さ
- 日当たり
- 最寄り駅からのアクセス
- 商業施設の充実度
- 築年数
- 建築素材など
上記で上げた項目以外にも、細かく査定しようとすれば、さらに査定に影響を与える項目は増えていきます。
正確な査定額を知りたいのであれば、プロの不動産会社に依頼をするのが一番確実です。
取引事例比較法はマンションの査定に強い
取引事例比較法は個別的要因によって、査定額の変動が少ない不動産に最適です。
大型マンションであれば、同じマンション内で成約事例を探すことができるので、より正確に査定することができます。(もちろん部屋によって査定額は変動します)
逆に一戸建ての家では、個別的要因によって大きく査定額が変動するので、取引事例比較法が向いていません。
家を査定する際には取引事例比較法ではなく、原価法が最適です。
他の査定方法は?
- 取引事例比較法
- 原価法
- 収益還元法
不動産の査定方法は上記3種類に分かれています。
原価法は一戸建ての家を査定する際に用いられることが多く、新築した際の費用から現在の状況を考慮して価格を差し引いていき、査定額を算出します。
収益還元法は賃貸マンションに用いられることが多く、今後発生するであろう利益を計算して査定していきます。
不動産の種類によって最適な査定方法は異なりますが、取引事例比較法はすべての不動産で用いることができるので、最も多く行われている査定方法です。
正確に査定したいなら不動産査定サイトを利用しよう
取引事例比較法の仕組みを知っておけば、ある程度自力で不動産の査定を進めることができます。
しかしプロの不動産会社と比べると、情報の量も少ないのでどうしても精度では劣ってしまいます。
本格的に不動産の売却を検討しており、正確な査定額を知りたいのであれば、不動産一括査定サイトを利用して複数の不動産会社に査定してもらうことをおすすめします。
不動産の査定は会社によって評価方法も異なるので、査定額にもばらつきができます。
そのため基本的には複数の不動産会社に査定を依頼して、見比べるのが鉄則です。
不動産一括査定サイトであれば、一度申し込み情報を入力するだけで、登録している不動産会社へ同時に査定を依頼できるのでおすすめです。