「マンションを売って高額利益を得よう!」という不動産会社の広告は多数ありますが、長いスパンで見れば本当に利益を得られるケースはほとんどありません。
新築のマンションを購入した価格と、中古を売却して得た代金。どちらが多いかといえば当然、新築を買ったときに支払った出費ですよね。
トータルで考えると損をしてしまうことの多いマンション売却ですが、このときに繰越控除という方法を使うと余計な税金の支払いを防ぐことができます。
では、この繰越控除とは一体何なのか。利用するにはどんな手続きが必要なのかを今回は詳しく解説していきましょう。
※本ページにはPRが含まれます。
目次
マンションの売却損をカバーしてくれる繰越控除
繰越控除とは、マンション売却で発生した譲渡損失を成約から最長4年後まで繰り越して控除できる仕組みのことです。
不動産を売却して利益か損失が発生した場合、譲渡所得税というものを支払わなければなりません。
会社員の給与も所得税がかかってしまいますが、マンションを売って得た代金も臨時の所得としてカウントされるため、そこに税金がかかってしまうのです。
この場合に繰越控除をおこなうことで、納税期限を引き延ばしにできるだけでなく、支払い額を抑えることもできるのです。
繰越控除はマンション売却の状況によって2種類に分かれる
マンションを売って損失が発生した場合、実行できる特別控除は以下の2種類に分かれます。
- マンションの買い換えで損失が生じた時の繰越控除
- 住宅ローンが残るマンションを売却して損失が生じた時の繰越控除
不動産売却で損失が生じた場合は、特定の要件を満たしていなければ控除をすることができませんが、マンションの場合は上記の2通りということです。
それでは、ここからは2つの繰越控除の内容を紹介していきます。
マンションの買い換えで損失が生じた時の繰越控除
まず特別控除を受ける条件として挙げられるのが、買い換えで損失が生じた時です。
買い換えとは、旧住居を売却すると同時に新居を購入する方法のことで、住み替えとも呼ばれます。
実際にマンションを売却して庭付き一戸建ての購入費用にするという方は多くいますが、この時に損失が出ると、新居の購入費が工面できなくなってしまい、新居の売り手とトラブルになりかねませんよね?
そのため、旧住居が満足に売却できなかったときにも無事に買い換えをおこなえるように、こうした特別控除が設けられているというわけです。
買い換え特例は適用条件が多数あるので要注意
この買い換え特例をマンションに利用できるのは、購入費が代金を上回っていることはもちろんのこと、以下のようなポイントも条件となります。
- 現在居住している不動産を売ること
- 現在居住していない場合は住まなくなってから3年後の12月31日までに売ること
以上の要件はマンション売却の場合は必須で達成している必要がありますが、その他にも以下のような決まりがあります。
- その年の1月1日で不動産の所有期間が5年を超えていること
- 旧住居を売却した翌年の12月31日までに床面積50㎡以上の新居を購入すること
- 新居を購入した翌年の12月31日までに、そこを住居とすること
- 新居を購入した年の12月31日時点で、住宅ローンが10年以上残っていること
買い換え特例と住宅ローン控除は併用できない!
新居の売却時に譲渡所得税の支払いを繰り越せるのが買い換え特例の大きな魅力ですが、この特例を利用すると住宅ローン控除を利用することができなくなってしまいます。
住宅ローン控除は、買い換え時に住宅ローンを利用した時に適用される控除で、10年間にわたって年末残高の1%が控除されるのでかなりお得です。
どちらがお得かは不動産によって大きく異なるので、シミュレーションしておくことをおすすめします。
住宅ローンが残るマンションを売却して損失が生じた時の繰越控除
住宅ローンの残るマンションであっても引き渡し時に完済できる分の代金を取得できれば、支払った後に引き渡しをすることが可能です。
ただ、代金が予想を下回ってしまい、ローン完済ができないということもあります。
このときに利用すると良いのが、この第2の繰越控除です。
この控除を利用すると、損失を譲渡の年の翌年から3年以内の期間で繰越控除することができます。
この間に資金を建て直して支払うことができれば、万が一代金が足りなかったときにも売却をすることが可能です。
マンション売却初心者こそ繰越控除を積極的に活用しよう
ここまで、マンション売却で損が出てしまった場合の繰越控除について解説しましたが、ほとんどの中古マンションは新築よりも価値が下がっているので、この控除は多くの方が利用することになるでしょう。
そもそもこの繰越控除は、不動産売買を活性化するために設けられたという側面もあります。
そのため、はじめて不動産取引をするという方こそ、こうした控除・特例の存在を知り、どんどん活用するのがおすすめですよ!
また、繰越控除のようなお得な節税方法は他にもあります。こちらにまとめてあるので、ぜひチェックして下さい!