未成年でも不動産売却できる!ルール・方法を解説

未成年者の不動産売却イメージ

不動産売却は成人がおこなうケースがほとんどです。

物件の取引自体、まとまった貯蓄額がないとできませんし、権利移動や売買契約など、様々な法制上の取り決めをおこなわなければいけません。

しかし、未成年者が急に物件の所有者となってしまい、売却をする可能性も充分あります。

結論としては、未成年でも不動産売却をすることはできますが、成年者の場合とは違った手続きの必要が出てくるので、しっかり確認していきましょう。

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未成年者が売り手になる最多のケースは相続・贈与

両親が不慮の事故でなくなってしまうと、不動産の権利は子どもに渡ります。また、両親が離婚をして、どちらも家を出るという場合は、前住居の所有権を子どもに移すこともあります。

また、両親に特殊な事情がなくても、子どものためを思って生前贈与や売却をする方も増えてきました。

このように、未成年者が不動産の所有者になってしまうケースは意外に多いのです。

未成年の不動産売却には法定代理人が必要

未成年が不動産を売却することは認められていますが、この場合は法定代理人を立てる必要があります。

法定代理人とは、未成年者などの代わりに法律行為をおこなう人のことで、基本的には親権者がなります。

未成年が不動産売却をするときは、この法定代理人と連携しながら、以下の2通りのどちらかの方法で進めていきます。

  1. 未成年が売り手となり、法定代理人の同意を得ながら進める
  2. 法定代理人が売り手となり、進めていく

法定代理人を立てなかったり、同意を得なかったりすると、売買契約を取り消される可能性もあります。こうなれば、自分に損失が発生するだけでなく、買い手から賠償請求される恐れもあるので注意しましょう。

親権者がいない場合は未成年後見人を立てる

両親が離婚して片親に引き取られたが、その親が亡くなったなど、親権者がいなくなってしまった場合は成年後見人を立てることができます。

成年後見人は、親の同意が必要な書類の記入などをおこなっていきますが、被後見人が不動産売却をする場合は、彼が法定代理人となります。

未成年の不動産売却では法定代理人の同意・決定が極めて重要

法律上、本人の手足となり動く人(メッセンジャー)のことは「使者」と呼ばれます。

一方、代理人という言葉には”判断を伴う”という意味もあります。

そのため、代理人は本人に代わって不動産の売却を決めたり、売買契約を結ぶことが可能です。

代理人が手続きを一任されることも多いので、気軽に引き受けると痛い目にあいます。

法定代理人の権限は上手く制限すべし

成年者が不動産売却をする場合にも、遠方地域に物件があったり、仕事で忙しく手続きができなかったりすれば、代理人を立てることができます。

前述の通り、代理人には大きな権限が付与されるので、「売却価格は本人が決める」というように、権利の行使を制限する書類を作成しておく必要があります。

未成年者の場合も同様で、法定代理人が自分の意に反した契約を結ばないようにする必要がありますが、前提となる知識が若さ故に欠如していることが多く、実際に制限できたケースは多くありません。

もしあなたが未成年者で所有する不動産を売りたい場合は、不動産会社や弁護士に相談をして、事情を話しておくことをおすすめします。

未成年者と法定代理人の関係によって手続きは大きく3タイプに分かれる

法定代理人は、親権者の場合、後見人の場合の他に、特別代理人というものもあります。

特別代理人は子どもから親に不動産を売る場合、子どもの代理となる人です。特別代理人は、親が自由に価格を設定して権利を委譲するのを防ぎ、しっかりと子どもの利益を追求するのが義務です。

この3パターンに大きく分かれ、少しずつ手続き方法や必要書類も変わります。

※なお、不動産売却の流れ自体は基本的な順序を踏襲します。こちらに流れがまとめてあるので、チェックしましょう!

不動産売却の流れ(査定・媒介契約・引き渡し)

親権者は子どもの意思に関係なく不動産売却ができる

肉親や親権者であれば、子どもの意思に関わらず物件を好きなように処分することができます。

理不尽なようにも思えますが、未成年者はそれほど権利が制限されているということです。

親権者が契約をするときは、契約書の他に戸籍謄本と住民票を添付して提出することになります。

未成年後見人は戸籍謄本の修正・提出が必要

未成年後見人は元は親族以外の他人なので、しっかり手続きを踏まないと売買が不認可となる可能性が高いです。

この場合に提出が必須なのは、未成年後見人が記載されている戸籍謄本です。これを契約時に添付するようになります。

特別代理人は家裁に申し立てて専任してもらう

特別代理人は上2パターンとは違い、家庭裁判所に申し立てて付けてもらいます。

基本的には弁護士が特別代理人に選任されるようになります。

弁護士が未成年者と話し合いながら手続きを進めていきますが、基本的な流れは他と変わりません。

どうしても売却すべきか考えてみよう

あなたが未成年者でも、親権者・成年後見人でも、不動産売却には注意が必要ということを覚えておきましょう。

「売ってお金になればお得」という簡単なものではなく、失敗すれば大きな損失となります。また、家という大切な固定資産を手放すことにもなります。

本当に売らなければならないのか、しっかり考えることがまずは重要です。