遺言で不動産売却を指定されたら相続人はどう対処するの?

遺言書イメージ

不動産は、持ち主が亡くなると親族に相続するようになります。

ただ、最近では遺言に「不動産をはじめに売ってから、代金を分割するように」と指定されていることも増えています。

子どもが複数人いる方に対して、弁護士や相続コンサルタントは「物件を誰か1人に相続すると揉め事が起こるので、分けやすく換金したほうが良い」とアドバイスすることが多く、その影響でこうしたケースが増えています。

こうした遺言が残っていた場合、子ども達はどのように責任者を決めて、どう手続きすれば良いのでしょうか。

この記事で詳しく解説していきます。

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残された不動産は遺言執行者によって売却される

遺言は、ただ故人の遺志を記した書類というわけでなく、法的な拘束力があります。

そのため、正しい形で残された遺言に不動産売却が指定されていれば、手続きをしないといけません。

このときに売り手となって希望を実行する人を遺言執行者(いごんしっこうしゃ)と言います。

遺言で「長男の○○が不動産を売却する」と指定されている場合は、その人が執行者となりますが、特に指定がないときは弁護士などの第三者が指定されます。

遺言執行者に権利・メリットはある?

遺言執行者に選ばれると、まずは相続人に決定の旨を通知します。

例えば長男が執行者になれば、他の兄弟(相続人)にその旨を伝え、不動産の査定・売却をしていきます。

遺言で指定されていた場合は執行者を多忙などの理由で断ることはできず、義務として進めていきます。

負担のかかる役割ですが、他の相続人からは報酬をもらうことができます。

家庭裁判所の審議によって報酬額は決まりますが、最低でも30万円以上にはなります。

相続した不動産の売却は代表者を立てておこなうべし

遺言で不動産売却を指定されていても、誰が手続きをおこなうのかという肝心なところが記されていないことがあります。

この場合、複数の相続人の同意を各タイミングで取りながら進めていくこともできますが、おすすめはできません。

確かにトラブルは起きにくいかも知れませんが、時間が余計にかかってしまいますし、高額売却も実現しにくいです。

何より買い手に不信感を与えてしまいますし、「この物件の居住者は特殊な状況下にある」と思わせてしまうのはマイナスです。

遺言執行者が指定されない場合でも、代表者を一人決めて、彼にある程度お任せしたほうが、高利益も得やすいですよ。

遺言による不動産売却でも高額で売る努力は必要です

「不動産を売ってほしい」というのはこの場合、故人の意思であり、見方によっては物件を売り渡した時点で要望はクリアしたと言えます。

しかし、特に相続人が複数いる場合には高額売却を目指すべきです。

安く売ってしまえばその分、他の相続人から不満がくるでしょうし、自分の取り分よりも報酬額が高ければトラブルになりかねません。

一括査定サービスなどを使って利益を限界まで高める、他の相続人と話し合って最低ラインの成約額と目標額を決めておくのが重要です。

第三者が遺言執行者になった場合も高額売却を希望しよう

弁護士が遺言執行者になった場合も、同じく高利益を目指してもらいましょう。

弁護士は不動産のプロではないので、任せておいても高利益を見込めるわけではありません。

せめて、一括査定サービスの存在などは教えてあげるようにしましょう。このサービスは比較的新しくできたものなので、弁護士の中でも知らない人がいます。

一括査定サービスの特徴・メリットについては、こちらの記事にまとめてあるので、ぜひご覧ください。

不動産の相場を調べる方法!一括査定サイトを活用しよう!

相続人に譲渡所得税が課されてしまう!不動産売却は慎重におこなおう

前述の通り、このケースでは不動産を売らないという選択肢はなく、故人の意向に合わせなければいけません。

遺言執行者に一任をすれば無事に手続きを済ませることはできますが、この時に利益が発生すると相続人全員に譲渡所得税が課されてしまいます。

引き渡し後、このことを知らなかった人と遺言執行者の間でトラブルにもなりかねないので、事前にきちんとリスクを共有した上で、話し合いで基本戦略を練っていくのがおすすめです。

遺言執行者以外も責任がある!積極的に意見・相談を

上記のように、不動産売却が失敗すると、そのしわ寄せは遺言執行者以外の相続人にも来ます。

ただ、このケースで悪いのは執行者ではなく、その他の相続人です。

不動産売却が失敗したときの意識の差は、執行者以外が手続きを完全に丸投げしてしまうことで起こります。

ある程度は執行者の意思を尊重してあげることも大切ですが、自分の意思と反するような行動に対してはキッパリとNOを言うことも必要です。

逆に、忙しくてやむを得ず丸投げしてしまった場合は、損失が発生したり、税金が課されたりしても、後から文句を言うのは控えましょう。

相続した不動産の売却は、代表者以外の相続人も責任を被るということをしっかり理解して、話し合いや協力をしていきましょう!