按分は不動産売却時の重要作業!方法とコツを解説

不動産の按分

不動産売却時に、業者から「土地と建物の按分をどうしますか?」と聞かれることがあります。

はじめて不動産売却をおこなう方にとっては耳慣れない言葉でしょうが、按分という作業は特に今後、賃貸経営を考えている方などにとっては重要な知識となります。

この記事では、按分とはいったい何なのか。どのような重要性があるのかについて解説していきます!

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按分とは不動産の書類記載価格を決定すること

不動産の按分とは主に、売買契約書に記載される金額を”それぞれ”決定することを指します。

通常、マイホームを売却する場合は価格(売却代金)を広告等に記載しますし、買い手もそれに応じて物件を選びます。

この按分というのは、総価格(成約価格)のうち物件が〇割、土地が△割というように、不動産ごとの価格の内訳を決める作業のことを言います。

按分することで正確な税額をおさめることができる

減価償却や消費税の課税など、一部の費用や計上は建物部分のみに課されます。

消費税などはもちろん建物の売却額に応じて課税額が変わるので、それぞれの不動産の金額を割り出しておく必要があるのです。

土地と建物を分けて金額を付けて売却すると買い手から見るとややこしくなってしまいますが、税制上・書類上は分けておくことで、税金の支払いをスムーズかつ正確におこなうことができます。

売買者がお互いにとって得な方法で価格を算出できる

後述しますが、按分のときに価格を算出する方法は主に3種類あり、そのどれもがしっかりとした根拠に基づく計算方法です。

しかし、算出される価格は3つとも少しずつ異なります。売却希望者にとっては土地価格の割合が多いほうが消費税の支払いを抑えられますし、買い手は逆に建物に対して特別控除を利用できることもあり、土地の割合が少ないほうがお得です。

このように、お互いの利益は真っ向から食い違っていますが、この場合はそれぞれ自分にお得な計算方法で按分を算出し、持ち寄って協議することができます。

多くの場合、2つの按分の間をとった割合が売買契約書に記載されることになります。

売却する不動産の按分を決める3つの方法

売却する不動産の按分は、主に下記3つの方法で決められます。

  1. 当事者間で自由に決める
  2. 固定資産税評価額に基づき決める
  3. 不動産鑑定士の評価に基づき決める

これらの方法のうち、自分にとってお得な計算をおこない、それぞれ持ち寄る形になるでしょう。

ここからは、それぞれの算出方法や特徴などを紹介していきます。

①当事者間で自由に決める

実は、不動産売却では土地と建物の価格配分を自由に決定することができます。

極端にいえば、土地:建物=9:1といった売却希望者に有利な配分設定もできるということです。

ただ、売却者・購入者間の合意がないと自由に按分を決めることができませんし、あまりに極端な配分にすると国税庁から指摘を受けることもあるので、注意が必要です。

自分(売却希望者)が有利になることを隠したまま不動産を引き渡しても、後々トラブルになりかねないので注意しましょう。

②固定資産税評価額に基づき決める

固定資産税評価額は、路線価を利用して割り出す、不動産の固定資産税算出のための評価額です。

具体的な算出方法はこちらに記載されているので、チェックしましょう。

土地の相場を調べる5の方法

固定資産税評価額は建物の売却相場を調べる場合にも利用されることが多く、土地と分けて評価できるのが強みです。

決まった計算式で求められるので、買い手にとっても説得力のある方法だといえるでしょう。

国税庁でも公式に、不動産売却で按分を決める方法としてこちらを推奨していることから、あとで指摘を受ける可能性も低いでしょう。

③不動産鑑定士の評価に基づき決める

最も信頼できるのは、プロの不動産鑑定士に依頼して評価してもらう方法です。

固定資産税評価額によって決める方法とは違い、地質や建物内部のキズの様子など、個別の状況も考慮して価格設定をしてくれるので、説得力という点では一番大きいでしょう。

この方法の長所としては、相手が自分に有利な方法を提案してきても跳ね返せるくらいの説得力・根拠があり、場合によっては鑑定士から話してもらうこともできるということでしょう。

ただ、不動産鑑定士に依頼し、鑑定評価書を作成してもらうときは数十万円という費用がかかってしまうので注意しましょう。

それだけの費用を支払っても売り手有利な配分になる根拠は全くないですし、固定資産税評価額とそこまで乖離するということも少ないので、どれだけメリットがあるかに関しては疑問です。

一般的には固定資産税評価額を使って不動産の按分を決めるのがおすすめ

ここまで、不動産売却時に按分を決める方法を3つ紹介しましたが、簡単にできて説得力もあるのはやはり②になるでしょう。

①がチャレンジできるのであれば、それに越したことはありませんが、余計なトラブルを避けたいのであれば、こうした細かな取り決めは相手に合わせることも必要です。

不動産売却は買い手が高額を支払わなければ成り立ちません。こうした力関係も考えつつ、双方が納得できる方法を考えていきましょう。